金田一さん、またまた事件ですよ
我が輩は特に金田一耕助(および横溝正史)のファンというわけではなかったけど、これだけ集中放送があるならとオンエアされたもののうち9割近くを録画してじっくりと見てみることにした。放送があったのはほぼBSプレミアムばかりだが、今たまたま東映チャンネルと契約していて(「仮面ライダードライブ・ファイナルステージ」を見たくて11月だけ契約していたのだ(ーー;))こちらでは「悪魔が来たりて笛を吹く」なんかもやっていたので一緒に録画して追加鑑賞を試みた。この映画は今回初見だったけど池中玄太にしか見えない(__;)西田敏行の金田一より夏八木勲の等々力警部の方が暑苦しくも目立っており、殆ど彼が主役のような映画だったと思っている(と、なんだかんだ言ってるが映画自体は楽しかったな~)
そして本命のBSプレミアムでは石坂浩二版を三本(「獄門島」「犬神家の一族」「悪魔の手毬歌」)と渥美清版の「八つ墓村」の計四本が連日流され、さらにスペシャルドラマとして「シン・ゴジラ」のランドゥ~・ヤグーチ(同じくシンゴジの石原さとみ調で言うとこうなる)こと長谷川博己が金田一を演じた「獄門島」が放送されたのである。正直企画に乗っかかったようなリメイクドラマにそれほどの期待値があったわけではないが、これが意外な力作であり怪作でもあったのだ。
タイミング良く石坂版の「獄門島」とセットで続けて見たのだけれども、話自体はほぼ同じながらドラマ版の方がより原作に近い設定になっており、石坂版金田一がどちらかというとメッセンジャーボーイのような役割で何処か傍観者然としていたものを長谷川版金田一ではそのこと(戦友だった鬼頭千万太の最後の言葉を直接聞いていて、それが「自分の代わりに獄門島にいる妹たちを助けてくれ」だったという)によってさらに深く事件に関わる体になっていたのだった。
この長谷川金田一の事件への「首の突っ込み方」は尋常ではなく( ̄。 ̄;)話の途中からはもう島の秘密すべてを明かしてやるぞ!と言った偏執的な行動、言動に少しずつシフトしていくのが怖さすら感じさせる。しかもソコにプラスして金田一が戦争で負ったトラウマに未だ苛まれているという要素も入ってくるため彼がどんどん病んでいる人に見えてしまい、なんというかこういう金田一像は過去に映像化された作品の何処にもなかったんじゃないかとも思えたのだった(全作見ているわけではないのでココは私見のみで語っているだけだけれども)
そういう意味でこの新作ドラマ版を「怪作」だと表記したのは間違ってないと思っているのだが、現代的なメンヘラ名探偵としてキャラはめっちゃ立っていたし、佐渡島でのロケがたいへん効果的(そして魅力十分)でどこが映っても怪しさ大ヒットだったのが映画版に負けず劣らずでたいへん素晴らしかったと思っているのである。
このままシリーズ化する気があるなら私はとことん付き合ってみたいが、次作はもう少し女優さんを目立つようにしてくれると嬉しい(今作の仲里依紗も悪くはないのだが、映画版の大原麗子や司葉子を見た後だとちょっとね(^_^;) )ラストで「次の事件は"悪魔が来たりて笛を吹く"だよ」みたいな告知(?)はされていたけど、そのときはもう一度西田敏行版を引っ張り出して比べてみよう。
あと書き忘れていたけど、このドラマの主題歌を唄っているのがマリリン・マンソンだったことにも驚いた(タイトルは♪KILLING STRANGERS♪)曲だけ聴いてもカッコイイのだが、オープニングタイトルとしても抜群(「悪霊島」のレット・イット・ビーよりよっぽど合っていた)
で、BSプレミアムではこれだけに止まらず、池松壮亮を金田一に立てて横溝正史の短編小説を三夜連続でドラマ化したのたった。私は1話の「黒蘭姫」と2話の「殺人鬼」だけを見たのだが、最終話の「百日紅の下にて」を見られなかったのは少々後悔しているところである(と、それくらいこの短編シリーズの方も良かったのだよ)
こちらはすべて三〇分ドラマとして作られていて、コンセプトとしては原作をとことん忠実に映像化することであるというのが前提になっており、そのため本編で用いられるモノローグ/ダイアローグはすべて小説から一言一句正確に流用され、クラシックな文体が映像に台詞としてオーバーラップされのである(これがまた画面と絶妙に合っていて良いのだ)
※下写真左が長谷川博己、右が池松壮亮の金田一さん
池松壮亮はひょっとしたら最年少金田一になるのかな?(26歳)少年ぽい幼さを感じさせながら身なりは小汚く、しかし利発な印象を与えるのは従来の金田一イメージ通りだが、これはこれでアリだなと言う感じ。
またキャストに芸人さんを入れ込んできたのが意外にハマっていたり(レイザーラモンHGと鳥居みゆき。特に鳥居みゆきは喋らず黙って立ってたらめっちゃ綺麗なおねいさんに見えた)2話に出てきた海外で活躍中の女優・福島リラなんかもこういうジャンルに出てくるとビジュアルがけっこうコワいし( ̄▽ ̄;) 出演者の布陣も変わっていてそのへんはかなり面白かった。
演出面だと絵の組み方も1話が舞台劇のような見せ方になっていたかと思えば2話は一転してロケ・セットをフルに使った映画的な撮り方になっていたりと様々な試みがされていていろいろと楽しめる作り。
こっちも不定期でいいからシリーズ化してくれたら良いのだがなあ(以前同じBSプレミアムでやっていた満島ひかりの明智小五郎もまたやってほしいのだけど・・・)
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