もどかしさの中で身悶える俺は

書き漏らしていた訳じゃないんだけど、どう書いたらいいのか悩んでいるうちに時間が経ってしまった「ウルトラマンサーガ」のはなし。

 

見てきたのはもう先月の話だが少し前のエントリーにも書いたとおりいろんな直前情報が頭に入っていたせいで、この新作には一方ならぬ期待と思い入れが充満した状態で鑑賞に臨んだのだった。しかしながら結果的には見終わった直後から今に至るもホントに芯のある感想が書きにくい、ちょっと困った映画となってしまっているのである(__;)

まず良かったところから書いておくと、中心となるストーリーは「ウルトラマンダイナ」最終回からの後日談になっており、シリーズを見ていた僕のような者からすると懐かしくも嬉しい見せ方を(当時の出演者が山田まりや以外は(ーー;)全員揃って再登場しているところとか、地球を守るため光の中へと消えたアスカ(つるの剛士)が「伝説の英雄」として語り継がれており、彼が消えた日が「アスカ記念日」としてその偉業を称えられているという描写等々)されていて、やや悲しい終わり方だった「ダイナ」終幕の気分が少しだけ癒されたようにも思えたのだった。

特撮パートでは最初の登場怪獣アーストロンの出現シーンが素晴らしい。ショッピングモール駐車場の手前に人間が何人もいる中、地中からずおおーっとアスファルトや土塊を弾き飛ばしながらせり上がってくるカットが(昔と違ってこういう合成シーンはホントにリアルに見せることができるようになったなと感心しながら見ていた)実に迫力ある映像。このあたりは着ぐるみの筈の怪獣を素直に巨大だと感じさせるに十分な説得力を持った良い場面だったと思うのである。

話題優先でキャスティングされたと思われるDAIGOやAKB48の面々についても本編から浮いた印象はあまりなく、むしろこの世界に溶け込んでいるかのように違和感もほとんど感じなかった。そこにはネームバリューのあるタレントさんが作品に花を添えるだけの”やっつけ仕事臭”というものもなく、真摯な取り組みでこの映画に拘わっているというのが伝わる熱演でもあったと言えるだろう。

僕はAKBの子たちについては全然予備知識のないオッサンだが、それでもリーダー役の秋本才加の格好良さには痺れた(__;)トシはたぶん自分の半分くらいだろうと想像しているが、もし自分もこの映画の中にいたならば間違いなく「傷だらけの天使」の水谷豊風に「ア~ニキ~」と呼びたくなる空気全快の存在(たとえが古いが(__;)簡単に書けばなんてオトコ前なのだろうということであります)

※参考 秋本才加インタビュー

とにかくこの作品は全体の枕詞というかメッセージが「何度倒れてもあきらめず立ち上がれ!」という叱咤激励映画としての作りになっていて、明らかに東日本大震災の被災者になった子供たちに向けられているというのがわかりやすくもひじょうに熱い部分として感じるところでもあった(しかしこれは後でも書くが、熱くなりすぎると両刃の剣でもあると思うのである)最後にバット星人によって暗闇と化していた地球が少しずつ灯りを取り戻していく場面では、それが東北から始まるという演出をしているのがなにをか況んやであると。

まあそんなこんなで良いところはたくさんあれど、そうじゃないところも殊の外沢山あって(__;)これが判断に困る部分ではあるのだが、こちらについても順次書いていくとまずはコスモス(杉浦太陽)がまったく不要な登場人物ではないのかと言う点が最初に気になってしまうのだった。ここに出てきた理由付けがあまりにも薄い上、登場したら登場したで前半は完全な露払い役にされており(こんな説明は古いプロレスファンにしかわからないと思うけど(__;)その姿はタッグマッチに於いての吉村道明でありストロング小林であり木村健吾であり、俗に言う「やられ役」を買って出ているということなのである)言ってしまえば居ても居なくてもいい存在ではないかとも思えるのだ。

さらには同様にM78星雲で姿を見せたウルトラ兄弟の面々も、ファンにとってのサービスカットという意味合い以外にまったく出てくる必要はなかったし、後から登場するゴメスグビラも前座怪獣としてのインパクトはあまり強くなく(そもそもこの2体のチョイスがイマイチ納得いかない。もっと強いヤツを7~8体揃えて、それをウルトラマンたちがあっという間に片付けるような場面があってもよかったのではないか)ラスボスキャラのハイパーゼットンが登場するまでの繋ぎ(それもけっこう時間使って間延びした感もあり)にしかなってないような印象しか残らなかったのもどうなんだと。

ストーリーの進行に於いても、せっかく「ダイナ」15年後の後日談というのがベースにあるわけで、旧ヒーローのアスカと新ヒーローになるタイガ(DAIGO)の邂逅を軸にしてそのままゼロとダイナだけの物語にした方が絶対座りがよかった筈なのだ。それなのにこの映画は途中から上に書いたような震災復興祈願物語としてひたすら「がんばれがんばれ」を繰り返すような作品になってしまい、その煽りで物語上の良い素材(タイガのトラウマ話やアスカとアナザーワールドの子供たちとの思い出話など)が生きてこないというロストポイントも生んでしまったと思えるのである。

この過剰な応援メッセージも、個人的に感じるのは実際の被災者の人たちはおそらく言われなくてもがんばっているわけで、そういう人たちに「もっとがんばれ」と言い続けるというのが贔屓の引き倒しじゃないけど逆に足枷になりはしないのかと、そっちの方が気になってしまってやや引いてしまうところもあったのだ(非・被災地の者ばかりが盛り上がって身勝手な想いだけをぶつけているようにも見えないこともないし・・・)

もう制作側が言いたいことややりたいことはホンマに痛いほどわかるんだけど(__;)なんとなくアレもしたいコレもしたい、話題のあるキャストも怪獣もいっぱい出したい等々と言っているうちに詰め込みすぎて纏まりがどんどん無くなってしまった結果こうなりましたみたいな、そんな印象も色濃く感じるのである。

なのでこの作品を傑作!とはまったく言えないし出来自体も決して良いとは言えないが、スタッフ/キャストの熱い気持ちはだけは観客に間違いなく伝わる映画であることだけは断言しておこう。そんなわけで今作は旨く書くのが難しいけど実に珍しい(そして見た人によって意見の分かれるであろう)タイプの濃いヒーロー映画だったと思っている。


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