コアラはなんにも言わないけれど

ここ何日かの公私にわたる色々な喧噪からもようやく解放され、この土日は久方ぶりにじっくりとテレビの前でふんぞり返ることができたのだった。その間もレコーダーには様々なものが録画され続けていたのでしばらくは未見のコンテンツとの戦い(?)が続くことだろう。今日はそんな中から金曜にBSスカパーで放送のあったナツカシ映画「ピクニックatハンギングロック」を見た。

 

いやもうタイトル聞いただけで懐かしいというかなんというか(__;) この映画の日本公開は86年(制作年度は75年)と言うことになってるけど、うちの地方(徳島県)では当然映画館での上映もなく存在を知ったのはその1,2年後当時出だしたばかりのビデオ雑誌(一番熱心に読んでいたのは今はなき「月刊ビデオコレクション」だが、この作品のことはキネ旬社から出ていた「ビデオ・デイズ」という本で知ったような記憶がある)で”「刑事ジョン・ブック」ピーター・ウィアー監督がオーストラリア活動時代に撮った隠れた名作”という謳い文句のレビューを読んだのが最初だった。

僕はあの頃「ジョン・ブック」をとても気に入っていて(アーミッシュという特殊な存在を初めて知ったのもこの映画だったし、勝手に刑事アクションだと決めつけて見に行ったらまさかあんなに静かで落ち着いたムードの映画とは思わなかったから驚いてしまった。そのうえ異なる生活文化を持った男女のラブストーリーが基本ベースでありながらさほどウェットな物にはならず、全編のトーンとしては娯楽映画の枠から崩れることもないという、その見事なバランス感覚というか演出の技量というのか、そのへんがすごいなと思っていたのだ)その監督の映画ならまずハズレはあるまいと、近所のビデオ屋に並ぶのをかなり待ったものだった。

その後無事レンタルに成功し、もう時効だと思うから書くけど(^_^;)ダビングもして何度か見たはずだがなぜかハッキリと記憶には残っていなかったのだ(あんなに楽しみにしていたにも拘わらず)さらにこのテープは当時メインで使っていたベータマックスに録画していたのだけど、これが93年に故障して以来作品を見る機会も今回の放送までスパーっと間が空いてしまったのである。朧気かつ断片的に脳内に残っていたのは「これは”オンナノコ”映画だ」「なんか夢をみているような映像だ」「悲しい話なのになぜだかすべてが綺麗」といったあたりの掴み所のないイメージのみで(__;) それがほぼ20年ぶりの再見で果たしてどう変わるのか、今回はそれを確かめるためにもあらためて見直してみようと思っていたのだ。

再鑑賞後のざっくりとした感想を書いてしまえばひじょーに不思議な映画だったとしか言いようがない(__;)おそらく20年前の鑑賞時に断片的な記憶しか残っていなかったのは捉え所がなくて当時まだ若かった自分の中で処理しきれなかったからではないかと想像するが、とにかく「ジョン・ブック」同様この映画も物語時間が穏やかに流れていき、短い本編タイムラインの中ではいろんな事が起こっていくがそれらのどのポイントでもまったく明快な展開というのは描かれていない。行方不明になった少女たちがどうなったのかという部分が話の根幹ではありながら、ここにはミステリの要素は皆無であるとも思えた。

つまり事件がどうなったこうなったではなく「少女たちが消えたことによって周りがどうなるのか」という点が唯一この映画の軸だったのかと、そう思わなければ物語だけを追いかけた場合「?」のみで終わってしまう作品でもあったかなとも感じたな。あと意外だったのはこの映画って主役不在の物語でもあって、誰の目線がメインかというのも最後まで確定せず、もう徹頭徹尾カメラが傍観者になっているというのか、この事件を見えない誰かが超・客観的に追い続けているようなそんな感覚もあった気がするのだ。

少女たちの消え方なども映像だけを見ていればもう完全なファンタジー処理(なんとなく「不思議の国のアリス」的なイメージ)をされているし、それなのに岩山での風景などは現地ママの暢気且つリアルな景色(徘徊している動物たち(ツチノコみたいなトカゲや(__;)コアラとか)はおそらくオーストラリア在住のエキストラ獣たち)が延々と映し出されていて直後の失踪場面とあまりにも色合いが違っているのがホントに同じ一本の映画なのかと、見ているこちらの頭がクラクラ来そうな見せ方をしている。

そんないろんな物が混在したまま映画自体はなにも解決することなく終わるのだが、最初に書いたとおりこの映画はとにかく不思議な魅力を持っていて、終始流れている美しいピアノのメロディに乗って消えた美しい少女たち、無機質な筈の岩山の怖いほどの神々しさ(僕には少女失踪後岩山が映るたびに顔のように見えてしまったのだが、これは「神隠し」のメタファー的表現なのかとも勘繰った)登場人物の背景的な物をいろいろ考えさせられては何も教えてくれず、結局観客だけが置いて行かれる不安感等々、頭に入り込んでくる場面が山ほどあるわけで、そんなことを考え出すとハッキリ言ってこれはもうそこらにある普通の映画とはワケが違うのではないかとも思ってしまうのである(真の意味で「カルトムービー」というのはこういうのを言うのではないかなとあたらめて思ったなあ・・・今も本編の映像が頭にちらついてるよ(__;))

蛇足ながらこの放送は番宣チャンネルのBSスカパーでBSイマジカのコンテンツの一つとしてオンエアされたのだが、「ピクニック_」に酔っ払っているウチに結果まんまとハマり(__;)今月からイマジカを契約してしまったワタシでありました(×_×)(やっぱり色んな意味で古い映画の方が何かにつけて面白いと言うことかねー・・・) 

ちなみにこの映画については僕がリンクさせていただいているmomorexさんのエントリー記事がサブテキストとしてたいへん参考になりました。もし「ピクニック_」を鑑賞されようと思われる方は是非ご一読されることをお勧め致します。

参考記事1
参考記事2
参考記事3
関連記事

2 Comments

momorex  

こんにちは

>「不思議の国のアリス」的なイメージ
あー、ホントですね。確かに見終わった後に同じ感触が残ります。
天使のようで奔放な少女と現実でじたばたする大人。
結局、この映画を観た人は少女達に振り回されたに過ぎないのかも。

記事のご紹介ありがとうございます。
TB打たせて頂きました。

2012/04/09 (Mon) 12:07 | REPLY |   

しろくろshow  

なるほど

こんばんは、なんとなく夕べは岩山近辺を散歩する夢を見ていたような気がいたします・・・(__;)

あ、それとトラックバックもありがとうございました<(_ _)>

その後この映画は当然のようにブルーレイ保管となる予定ですが、入ったばかりのイマジカでデ・パルマの「愛のメモリ-」があるらしく、録画したらこれとセットにして焼こうかななどと画策中です。

2012/04/09 (Mon) 20:32 | REPLY |   

Leave a comment