ボール、ボール白いボール

自分の趣味には映画やドラマを見る以外にもう一つ野球観戦というジャンルがある。毎年プロ野球が開幕すると映画の契約チャンネルを減らしてでも野球を見る環境を作り、毎日全ゲームをザッピングしながらテレビ観戦しているのである。テレビとレコーダーのリモコンを2本握り、二丁拳銃よろしくで一球、またはイニングごとにチャンネルを変えるその姿はまさに安物のガンマンの如し(あるときは「MATRIX」のネオなみに高速で、ときどきは「ウルトラマンA」に登場するTACの山中隊員風に構えることもアリ←アホの極みですな(ーー;))

今月の日本映画専門チャンネルはその時期に合わせて「野球映画特集」と銘打った下記の作品がオンエアされている。野球映画というと海外作品の専売特許というか、あまり国産で良い映画と呼べる物はなかった記憶があるが一応全部に目を通してみた。そしてなんと意外なことに映画も野球も好きなこの私がこれらの作品を今まで一本も見ていなかったのである(ーー;) 多分自分の中で理由はハッキリしているのだがまずは個々のショート感想。

「走れ!イチロー」・・・・・三人の「イチロー」それぞれの人生を描いた野球そのものとはあんまり関係の無い群像ドラマ。村上龍の小説「走れ!タカハシ」を原作として舞台設定を変えた映画らしいのだが、小説版のエロ描写等はまったく表現されず、なんとなく上っ面だけのホームドラマを見せられた感じがしてあまり面白いとは思えなかった(舞台がグリーンスタジアム神戸(現在のほっともっとフィールド神戸)になっているので球場内外の映像は頻繁に登場するけど、本筋にはまったく絡んでこない)

「ヒーローインタビュー」・・・・・こちらは「走れ!」と違いヤクルトスワローズに所属する選手(真田広之)と新聞記者(鈴木保奈美)のラブストーリーを軸に置いた90年代的トレンディドラマをそのまま映画にしたような内容。ホンモノの神宮球場を使いお客も入れた状態で撮影されているのでグラウンドレベルでの映像はそれなりに迫力あるのだけど、なにせドラマ部が今見るとひたすら恥ずかしい( ̄。 ̄;)最後に目下シャブ中疑惑の真っ只中におられるチャゲ&飛鳥の歌がかかるのを見たとき、いろんな意味でこの時代ってなんてスカスカだったんだろうと思ってしまった。

「巨人の星・劇場版」・・・・・ほぼテレビ第一シリーズの総集編なので濃度は薄いが場面場面のインパクトが強すぎてつい笑ってしまう箇所が多いのだ。号泣しながらお互いの言葉尻をあげつらう飛雄馬と一徹の親子、そして父親の足にすがりついてその喧嘩を止めようとする明子等、凄まじい家庭内の描写でスタートし、そのままは大リーグボール1号を完成させて花形との対決に勝利するまでの10年近くを一気に駆け抜けるため面白いんだけどけっこう慌ただしい(ーー;)

「タッチ」・・・・・原作漫画に比較的忠実だし(ヒロインの朝倉南が体操部ではなく野球部のマネージャーという設定に変わっていたが、映画の進行上はこの方が分かり易い)コンパクトに纏まった映画になっていたように思える。上杉兄弟を演じた斉藤兄弟にイマイチ魅力と個性が無かったのと肝心な野球の動きが素人丸わかりなのが興ざめする部分ではあったけど南を演じた長澤まさみが飛び抜けて可愛いのが救い。

「逆境ナイン」・・・・・単純に面白かったけどこれは「少林サッカー」がサッカー映画ではないのと同じく、野球映画とは言えない作りになっていると思うのである(__;)(←そんなことを言えば「アストロ球団」もそうなるけどムリヤリとはいえまだ試合を成立させているだけでもマシだと思うのだ。「逆境ナイン」には台詞の応酬による面白さはあっても野球というキーワードが劇中でほぼ意味のない物になっているところが野球ファンとしては不満)

「がんばれ!タブチくん」・・・・・当時いしいひさいちの原作版(中畑清(現・横浜DeNAベイスターズ監督)がほとんど異常者のような扱いされていたのに爆笑したものだ(^_^;))が好きだったので敢えて映画版は見なかった記憶があるなあ。今回初めて見させて貰ったけど作りとしては無難ながら思っていたよりは見易かった(但しあまり笑えない(__;))79年頃のプロ野球選手・コーチが実名出てて来るのも楽しい(それと西田敏行が達者で巧いわ)

「バッテリー」・・・・・ベストセラーの原作を未読のまま映画を見たが、イメージの決めつけがない分すんなり入れたような気がする。ありがちなストーリーではあるけどこういうのはベタなほど感情移入できるので僕は良い映画だったと思っている。それと「タッチ」と違い主役の林遣都がちゃんと"ピッチャーの動き"を出来ているのが素晴らしいのだ(国産野球映画には案外コレをクリアできていない俳優が多い)

「消えた巨人軍」・・・・・これだけは78年に放送されたテレビドラマ(全5話)オチを全然知らなかったから最後どうするんだろうと思いつつ一気に全話見たが残念ながらそこは苦笑レベル(ーー;) しかし全編ロケに次ぐロケを敢行して事件を追いかけていく展開を見せていくのはスピード感もあり演出も相当ダイナミック。そのうえ主演が藤岡弘と水沢アキというザ・昭和な濃いコンビなのも良いし日本テレビのドラマでなければここまで巨人をネタにして映像にするのも難しかったことだろう(長嶋や王の映像は別の物を使用しているだけでドラマに絡まないが、実際に存在する長谷川球団代表(岡田英次が演じている。ホンモノの長谷川さんはこの翌年江川事件で矢面に立つ人でもある)はメインキャスト扱い。

と、一通り見てみると楽しいことは楽しかったのだが最初に書いたようにどうして野球/映画好きの自分がこれらの映画に公開当時(或いはビデオ発売時に)食い付かなかったのか。それはおそらくどれもが野球映画を謳いながら肝心な野球場面でリアリティの欠片もないような動き(所謂「投げる・打つ・走る」の基本動作)しか見せてもらえなかったことにあったと思うのである(「巨人の星」と「バッテリー」はその点を激しくクリアしていたけど)

たとえば外国映画でヒットした野球映画を見ると「メジャーリーグ」なんかで見せる動きの説得力は役者とアスリートの境目を殆どわからなくしていると思われるし、どうせ野球の映画を撮るなら最低限そこはきっちり描写してもらいたいと僕は思っているのだ。無名の俳優でも良いから野球経験者を揃えて球場にお客も入れた状態にして撮影すればそこだけでも全然違ってくるはずなのである(だから中身はしょーもなかったがその部分をちゃんとやっている長嶋一茂主演の「ミスター・ルーキー」は一定の評価ができるのだ)

それ以外でもプレーそのものをメインにしないのであれば「マネーボール」や「フィールド・オブ・ドリームス」のような形もあるわけで、日本でやるならスカウト等裏方の物語でやってもいいし楽天をスポンサーにして2004年の球界再編話を選手会側もしくは球団側の視点で撮ってみるとか、やりようはいくらでもあると思うのである(トム・セレックの「ミスター・ベースボール」なんて本当は日本で作るべき題材だよな)

と、野球映画を延々と見ていたらホントの球場に行きたくなってきたので明後日5/1日は「走れ!イチロー」の舞台であるほっともっとフィールド神戸へワタクシ行って参ります(ロ_ロ)ゞ 内野自由席で一人楽しそうにしているおっさんがいたら我が輩なので、この試合(オリックス・バファローズ対福岡ソフトバンクホークス)をテレビでご覧になる事ができる方は探してみてください。
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6 Comments

つかりこ  

「瀬戸内少年野球団」というのもありましたよね。

「42」は、ゲームの内容に触れたシーンはないのですが、
ひとつひとつのプレイはレアルでした。

2014/04/29 (Tue) 23:29 | REPLY |   

ポール・ブリッツ  

個人的には「甦る熱球」というハリウッド映画が好きです。

野球をはじめスポーツは楽しくあるもので、ただ単に厳しくつらいものであってはならんと思います。

「巨人の星」はその点、日本のスポーツ界にとって戦犯なんじゃないかなあ、と思うことがあります。

2014/04/30 (Wed) 16:32 | EDIT | REPLY |   

しろくろShow  

プレイの迫力は外国映画が完勝です

>つかりこ さん

こんばんは、コメントありがとうございます<(_ _)>

日本映画の場合野球がテーマになるときはどーもプレイの現実味が二の次になっているように思ってしまいます。

極端な意見ですけど昭和30年代にあった長嶋茂雄主演「ミスタージャイアンツ勝利の旗」やこちらはプロレスですが力道山の一連の主演映画のように有名スポーツ選手が本人の役で出ているパターンも多かったので(演技力はお世辞にも巧いとは言えないのですが(ーー;))敢えて今この形でやってみたらどうだろうなと思うときもあります(イチローなんか「古畑」に出たときはけっこうやるなと思いましたし)

2014/04/30 (Wed) 22:05 | REPLY |   

しろくろShow  

楽しい=アマチュアだと私は思います

>ポール・ブリッツ さん

こんばんは、コメントありがとうございます_(._.)_

向こうの作品だとケビン・コスナーの「さよならゲーム」やジーナ・デイビスの「プリティリーグ」なんかもわりと好きでしたねー・・・

翻って国産では漫画原作が大傑作なのに"どうしてこうなった?"としか思えない「野球狂の詩」とか「ドカベン」とか(ーー;)(「サード」や「ダイナマイトどんどん」は面白いけど野球映画とは言えないですよね)

「巨人の星」ですけど今見るとお笑いバカアニメにしか見えなくて(^_^;)爆笑するところだらけでした。

それでスポーツが楽しいものでなければいけないというご意見には私も大賛成ですが、ことプロスポーツの世界はそれが前提では許されないと思っています。

どのジャンルであれプロのアスリートが己の腕を言葉は悪いけど「見世物」にして来場者に対価を払わせているスポーツ興業の中では常に「凄い!」と言う物を見せなければいけない責任と義務が彼らにはあるとも思っています。

2014/04/30 (Wed) 22:22 | REPLY |   

楽珍劇場  

スポーツもののジャンルには疎いワタシですが

ちばあきお原作の『キャプテン(アニメ版)』をおススメしたいです。
一応、劇場公開もされてますし・・・
荒唐無稽なプレイを売りにしていた作品が多かった中、
いわゆる「野球の天才」が出てこない、
等身大の野球少年たちを描いた作風が気に入ってましたね~



2014/05/14 (Wed) 21:05 | EDIT | REPLY |   

しろくろShow  

ちばあきおの野球観は好きでした

>楽珍劇場 さん

こんばんは、コメントありがとうございます<(_ _)>

「キャプテン」と「ブレイボール」は原作をずっと読んでましたけど、そういうとアニメ版は未見でしたねー。水島野球マンガとはまた違う熱くなりすぎない淡々としたリズムが心地よい好編でした。

ちょうどこの記事で言うと「バッテリー」が中学野球の話と言うこともあるのですが(主人公は天才でしたけど(^_^;))、少し雰囲気近いかなってのはあったかもしれません。

昔読んでた物だと内山まもるの「巨人くん」とか実写でやれんかなーって妄想したことはあります。

2014/05/14 (Wed) 23:08 | REPLY |   

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  •  Heart oh Heart
  • これまた先月の話。自分が契約しているCS放送で日本映画専門チャンネルというのがあるのだが、4月はなんと国産野球映画の特集となっていたのである。 映画個々の感想は別館に書いてあるのでこちらにはあらたまって書かないが、数日前に逮捕されたCHAGE&amp;ASKAが主題歌...
  • 2014.05.22 (Thu) 19:51 | You talkin&#039; to me ? β〜野球狂のウダ〜