南国土佐は怪獣だらけ(日本の空にはいろんなモノが飛んでいる編)



※ 
ついに明日7/25から公開! 
「GODZILLA」 



と、言うことで高知二日目は朝からの二本立て。

7/21(月) 10:00~「空の大怪獣ラドン」

改まって両日のラインナップを見ていると前日が海外資本(ベネディクト・プロ)+東宝提携、馬淵薫脚本のフランケン二部作でこの日がどちらも黒沼健原作の空飛ぶ怪獣映画になっているのは実に練られた編成だ。きっと作品選定した人もかなりのマニア( ̄。 ̄;)に違いない(たぶん会ったらすぐ友達になれそう)

さて実は前夜遅くまで高知市内でドンチャンやっていたのと、睡眠不足の上朝にちょっとしたトラブルがあったりでホールに来た時には既に疲れが出ており(~Q~;)映画の途中で寝たらどうしようかとかなり本気で心配していたのである。もともと「ラドン」に対しては真面目な怪獣映画であるという印象は持っていたけど、数ある特撮映画の中でも自分の中のランキングではそれほど上位に来ている作品ではなかったのだ。

睡魔と戦う覚悟で前日と全く同じ席(中央最前列)から見始めたが、わしゃ今まで「ラドン」を軽視していたのかもしれんな。これが眠気など何処へやらと感じるほどめちゃめちゃ面白かったのだよ(ーー;)

炭坑現場での事故が殺人事件の疑いへと発展する序盤のサスペンス風な始まりから、徐々にスケールの大きい展開が後から被さってくるのは(動機のある殺人事件と消息不明なままの容疑者→突如出現した人を襲う大ヤゴが集落でパニックを引き起こし、こいつが犯人であると断定→異常な地殻変動と大ヤゴ出現の関連性を辿るうちに明らかとなる巨大翼竜の存在等々)映画構成上ひじょうによく出来ていると思うのである。それもいっぺんにではなく1から2へ、2から3へと少しずつ話しが拡がっていき後半のクライマックスまで一本の芯で繋がっているように感じるのは前日見た「バラゴン」「サンダ」の投げっぱなし的幕引きとは全く違っている。

しかも最初はUFOの出現すら臭わせており、当時(昭和31年)何の情報も無くこの映画を見ていたならばどれほどドキドキハラハラしたことだろうと思わずにはいられないほど(飛行物体の正体がラドンに辿り着くまでいろんな事象が錯綜して見ている者の混乱を誘うような感覚と言うか)物語は意外な方向へと転がっていくのだ。

それで思ったのは怪獣映画というのを本当にドラマと特撮を旨く絡めて撮ろうとするならば、こういう単独怪獣モノの方がいいのかもしれないなと(複数怪獣が出る場合エンタメの部分では賑やかに盛り上がる要素はあるが最後は「で、どんな話しだっけ?」となってしまうケースが多いように思うのだ)

「ラドン」の場合何段にも重ね続けたドラマがさんざん盛り上った後で怪獣による都市破壊へ見せ場が移っていき、これも長くなりすぎない程度に長崎~福岡の実際にある街(建物配置もかなり正確で他の作品と比べてもより精巧に作られているのは明らか。後年の作品でもここまで細かく作られたセットはそうはなかったと思うが、もはや説明するまでもなく有名な場面だと西海橋が壊されたり、衝撃波で民家の瓦一枚一枚が吹き飛ばされるシーンであるとか、僕がこの53年後に初めて訪れた西鉄天神駅が木っ端微塵になる場面などがその筆頭)があっという間に火の海となっていくスペクタクルがモノクロの「ゴジラ」の時ほど悲壮感はなく、カラーによる映像のためか何処かで爽快感にも近い内なる破壊衝動を解消してくれているような、そんな感覚すら抱いてしまうほどであったのだ。

最後は去年の九州旅行記でも書いたようにラドンの巣である阿蘇火口へミサイルをガンガン撃ち込んで人工的に噴火を起こし、一気に焼き殺すという豪快且つ荒っぽい作戦(ーー;)を取るのだけれども(たぶん後で地形変わるんちゃうかと言うくらいの乱射。きっと指揮官は「天才バカボン」に出てくるピストルのお巡りさんみたいな人だったのだろうなあ・・・)溶岩の中に落ちていくラドン親子の姿は可哀想でちょっと切なかった。

こうして見ると最初から最後まで殆どムダな場面のない濃密な怪獣「映画」だったというのを今になって確認した次第だ。この日でMy怪獣映画ランキングがガラッと変わったのは間違いなく「ラドン」は「ゴジラ(54)」の次くらいに浮上。

11:30~「大怪獣バラン」
 
会場入り口には「「バラン」のみフィルムの状態が良くありません」と注意書きがされていて、どの程度かと思っていたら上映が始まると正にその通りで(__;)傷のせいかまるで雨が降り続いているような画面がいつまでも続き、音は飛ぶはコマは飛ぶはでチャップリンかキートンの映画を見ているような錯覚を起こしそうだった(ーー;)(やはり本物のフィルム傷は「グラインドハウス」どころではない・・・)

それで実は「バラン」を今までちゃんと見たことが一度もなく、長いこと特撮ファンをやっているけど今回は殆ど初見のような面持ちで鑑賞に臨むことになったのだ。ちなみに一昨年の日専CHで放送があったときは録画だけしてまだ見ておらず( ̄。 ̄;) それ以前だと東宝ビデオから出ていた「東宝怪獣・SF大百科」というシリーズでダイジェスト収録された物を見たきりだった(サントラは持っていたので曲についてだけは把握していたが)

こんな珍品をこのサイズで見られるんだから多少のフィルムコンディション不良には目をつぶって満喫しようと思っていたのだけど、いやー、ここまで退屈な映画だったとは知らんかったなあ・・・orz もう全体のイメージを言葉で表現するとひたすら「お安い」「華がない」というフレーズばかりが浮かんでくるのだ。

元々「バラン」は海外から発注されたテレビ向けの特撮怪獣ドラマ(全4回の予定だったらしい)として製作がスタートしたのだが、途中で事情が変わり急遽劇場用映画作品になったそうである。そのせいかどうかは不明だが確かにテレビシリーズの総集編のような冗長感が全編には漂っていていた。

「お安い」で言うと予算的な問題もあったのだろうが、特撮的な見せ場は東北の北上山中にバランが出現するシーンと羽田空港での攻防戦があるだけで出てくるミニチュアはそこだけ。都市破壊と自衛隊の攻撃場面は殆ど「ゴジラ(54)」のフィルムが流用されている(ゴジラの尻尾が思いっきし映ってるカットもあったなあ・・・(ーー;))

「華がない」というのも主演の二人・ 野村浩三と園田あゆみが全然そのクラスの俳優と思えない地味な印象しか受けず(どう見ても4番手くらいの脇役だよ)兄が死んだのにちっとも悲しそうにしない態度であるとか(園田)何を喋っても逆ギレした物言いにしか見えないとか(野村)どちらも演技フォーマットを勘違いしていたのかそれとも根っからの大根なのか(;゜ロ゜)そのへんはわからないが(野村浩三はその後「ウルトラQ」の"変身"というエピソードで自らが怪獣化した巨人になるのを見たけど、あれはゲストだしそんなに台詞もなかったから良かったのかも←「ガス人間」ではちょっとだけ目立っていたが)

園田あゆみはここまでに見た三本のヒロインが水野久美・白川由美と本格派の美人が続いていたたせいで失礼ながらよけい差を感じてしまったというか、なんでこんなオバちゃんみたいな子が主演女優なのかと合点はいかんし感情移入も出来ないしで見ているこちらが途方に暮れそうだった。

唯一腹抱えて笑ったのは北上山中の集落でバランを「婆羅陀魏山神」として崇める祈祷師が、バランに襲われ逃げ帰ってくる村人を迎え入れる側でひたすら大幣を振り回し意味不明な呪文を唱えるシーン。ここがどう見ても喜劇にしか見えず異常に可笑しい( ̄∇ ̄)

残念ながら僕にとっては「こんなもんか」という感想しか残らない"幻の怪獣映画"ではあったけど、モノクロのワイドスクリーンをこの大画面で体験できただけでもこの映画を見た意味はあったなと、終了後はけっこう真剣にそう思っていたのである。

※「大怪獣バラン」については飛翔掘削さんのブログ「怪獣の溜息」で私とは違いたいへん愛のあるレビューを書かれておられます。

こうして二日間、計4本のお祭りは終了した。それぞれを振り返ると今回は上映作品のすべてが製作:田中友幸/監督:本多猪四郎/特技監督:円谷英二/音楽:伊福部昭という東宝特撮映画のゴールデンカルテットだったわけである。それもあってかブログの中じゃ好き勝手にあーだこーだと書いてるけど、両日とも心の底から「楽しい!」と感じていたのは正直なところ。次にこのホールでこういう企画が行われるのが何年先かはわからないが、もし次があるなら必ずまた来訪するぞと最後に宣言しておきたい(なんだか「ウルトラセブン」に出てくる敵宇宙人の捨て台詞みたいだけど(^_^;))

昨日も書きましたがあらためて運営・主催者の皆様お疲れ様でした。そして楽しいプログラムのご提供本当にありがとうございました<(_ _)> よく「映画は映画館で」という言葉を聞きますが怪獣映画くらいその言葉がふさわしいジャンルはないなと、心の底から感じたイベントでもありました。
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6 Comments

晴雨堂ミカエル  

バランはまだ50年代だったかな?

 世間一般に認知された名作は順次デジタルリマスター化されますが、そうでないのはなかなかですね。またデジタル化されれば良いというものではありませんし。

 高知はフィギュアの海洋堂があります。高知市内には漫画同人誌をメインにやっている印刷屋西村謄写堂があるなど、けっこう特撮アニメ漫画オタクの国なんですよ。

2014/07/26 (Sat) 21:32 | REPLY |   

しろくろShow  

近くて遠い高知県

>晴雨堂ミカエル さん

こんばんは、コメントありがとうございます<(_ _)>

海洋堂ミュージアムは三年ほど前に行きました。その後カッパ館とか増設された施設もあるらしいので次くらいには覗いてみようかと思っています。

今回の旅行では美術館中心に行動していたのであまり遠出が出来ませんでしたけど、まだまだ未踏の地は多いですね。あと「あたご劇場」がまだ健在だったのに感動しました(たまたま泊まっていた宿の近くだったので前を通ったんですけど)

2014/07/27 (Sun) 21:41 | REPLY |   

晴雨堂ミカエル  

そういえばワンフェス開催してますね。

 幕張でワンフェスやっていますね。

 まだ晴海でやっていた頃、友達の付き合いでディーラーとして参加した事があります。人民服を着てチュンリーのコスプレ少女と記念写真撮りました。

 あたご劇場は高知の映画ファンが支えています。

2014/07/27 (Sun) 22:19 | REPLY |   

しろくろShow  

ついしん

>晴雨堂ミカエル さん

連日コメントありがとうございます<(_ _)>

書き忘れてたんですが「バラン」は58年(昭和33年)で「ラドン」より後だったんですね(古い方が出来が良いというのもなんなんですが(^_^;))

それと今回は高知の食事の美味さにも満足した旅でした(怪獣とメシで満喫した感じです)

2014/07/27 (Sun) 22:44 | REPLY |   

飛翔掘削  

御紹介、有難う御座います!

「愛」と言いますか、寧ろ「哀」です(笑)。
観るたびにバランが不憫で不憫で……。

バランのデザインとキャラクター性は決して悪くは無い訳で、本編も特撮もガタガタだからと言って埋もれさせておくには勿体ない怪獣であり、作品であると思う次第です。
だからこそ是非ともリメイクされ……る事は無いのでしょうね、多分。

2014/07/28 (Mon) 19:25 | EDIT | REPLY |   

しろくろShow  

確かに言い得て妙です

>飛翔掘削 さん

こんばんは、コメントありがとうございます<m(__)m>

なるほど言われてみると確かにそうですねー・・・「不憫な怪獣」というのはバランにぴったりのフレーズでもありますね(^_^;)

怪獣としての魅力はぼくもあると思うのですが、如何せん活躍するステージが地味すぎたというのはあったかもしれません。

ハリウッド版の続編には早くもギドラだモスラだと出演怪獣の噂が喧しいですが、今こそパワーアップして復活させて貰いたい怪獣でもあります。

2014/07/28 (Mon) 20:50 | REPLY |   

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