夏休み非指定課題図書中年読書感想文
左写真に写っているものがそうなのだけど、これ下段にあるヤツは全部復刻・再販の物ばかりで初回出版時は高額だったため購入を断念していたのだが(本多監督の「ゴジラとわが映画人生」だけは初版ハードカバー版を買っていた)こうして文庫/新書化されて廉価になってくれたのはたいへんありがたいことだと思っているのである。そんなわけで一冊ずつ簡単に感想を記録しておく。
「文藝別冊KAWADE夢ムック/伊福部昭: ゴジラの守護神・日本作曲界の巨匠」・・・生前伊福部昭の残したインタビュー記事が大量に掲載されており、それだけでも読み応えはあったが基本的に編集方針はあくまでも作曲家/音楽家=伊福部昭を取り上げた物になっているため従来の特撮系ムック本とは違った視点の異なる話が随所に読めて新鮮だった(「映画音楽を仕事として続けていたのは何と言っても生活のため、喰わんが為ですよ」と言った特撮ファンからするとやや耳障りの悪い話も入っていたりして(^_^;))
「ゴジラとわが映画人生」・・・本多猪四郎監督の自伝的インタビュー本。所持してるし既読済みの本だったけど、なんとなしに寝ながら読めるサイズになっていたこともあってついつい買ってしまったのだ(やっぱりハードカバーは重いわ(ーー;))新書版用のあとがきとして本多監督の息子さんが父・本多猪四郎を語るパートが追加収録されていたのはちょっと感動。あらためて本多監督のインタビューを読み込んでいくと何と言っても戦争体験を敢えて穏やかに語っておられるのが逆に生々しい戦場の異常さ加減を現して、その情景がイメージとしてこちらにどんどん伝わってくるのである。戦線に合計で8年も赴任して、戦後広島の爆心地近くを通って帰国した事が後々の人生に大いに影響を与え影を落とした(亡くなる直前まで戦場の夢を見て目が覚めるということが何度もあったとか)と言う言葉には読めば読むほど戦争というリアルを感じさせずにはいられない話でもあった(これを読んで「ゴジラ(54)」を見返すとなるほどこの映画の強烈な説得力はここから来ていたのかと)
「怪獣人生~元祖ゴジラ俳優・中島春雄」・・・ 今で言うスーツアクターの開祖でもある中島春雄さんのインタビュー本。それほど目新しい話はあまりなかったけど、「ゴジラ」「ゴジラの逆襲」等で一緒に着ぐるみに入っていた手塚勝巳が「こんなもん動けるか!」とスタッフに文句を言ってたとか、彼とはよく喧嘩もしたとか(^_^;)舞台裏でもゴジラ対アンギラスをやっていたというエピソードが僕は気に入っている。今回買った本の中ではこれが一番さらっと読めたかな。
「別冊映画秘宝・初代ゴジラ研究読本」・・・このたび出たゴジラ関連書籍の中では圧倒的にチャンピオンクラスのムック本だったと言えるだろう。インタビューした関係者の数(なにせ古い映画のことなので故人となっておられる方もたくさんいらっしゃるし、このインタビューの直後に亡くなられた方も何人かいらっしゃったくらいで)掲載された写真の量と質(今まで発表されていなかったような舞台裏の写真やオフショット等)といい、とてつもない情報がこの一冊には詰まっている。僕はこれ全部読むのに三日はかかったですよ( ̄。 ̄;) もうこのムックと香山滋の原作小説があれば現状では初代ゴジラについての本は何もいらないんじゃないかと思ってしまいますな。
「ワイズ出版映画文庫/特技監督 中野昭慶」・・・総ページ数500のウチ約8割は中野監督が自らの映画人生を語るという講演会の発言ログ全集みたいな濃密な中身(文庫版用に書き下ろされた中野監督のエッセイも追加収録)東宝の後輩である川北紘一監督のように元々特撮が好きで特撮をやりたくてこの世界に来たわけではなく、殆どなし崩し的に特撮の現場に駆り出されたという話がなかなかに面白い(^_^;) そのへんの拘りがない分どんな予算のない映画でも力を抜かずフラットに一生懸命やってきたというのはある意味素晴らしい仕事のやり方だと感心した。正直彼の担当作品では爆破シーンばかりの演出がやたら目立ってて、それほど良い特技監督とは今まで思ってなかったのだけど、これ読んでその頃の現場の裏話(円谷時代のような制作費が一切使えないカネの無い時代だったこともあり)とか聞いてしまうと見方変わってしまうね。
※中野監督繋がりで小ネタを一つ。8/16に開催された京都みなみ会館"京都怪奇映画祭ナイト"で企画販売された「マタンゴ」の"きのこもち"の全貌が判明した。この記事の通り中野昭慶監督(「マタンゴ」ではチーフ助監督を務めた)監修の元で当時のレシピ通りに再現されたとか。
なんでも上映前は「劇中でキノコを食べるシーンに合わせて一緒にこれを食べましょう」と言うことになっていたとかで、実際そのシーンが来ると館内では包装を破く音が響いていたそうである(「アナ雪」で♪Let it Go♪を一緒に唄うというのに対抗したかのようなアイディア)
と、いうわけでこの写真→はみなみ会館の公式ツイッターからの転用。
きのこもちを手にモデルさんを務めておられるのはみなみ会館のアイドルにして看板娘の吉田館長。
水野久美ばりの妖艶さはないがこのように「お~いしいわよ~」と微笑まれると 当日この場にいたなら間違いなく三個は買っていたでしょうなあ(__;)
この「くせになる孤島の味」というフレーズも見事だ・・・みなみ会館さん(あるいはキャストさん)ほんと真剣にネット通販考えてくれんかねー・・・
そしてみなみ会館では今月27/28日にその中野昭慶特技監督作品である「惑星大戦争」を上映予定(3月からスタートした「大怪獣大特撮全集」の一環)
東映の「宇宙からのメッセージ」と2本立てなので参加可能な方は是非とも大画面で轟天とリアベ号の競演を見に行っていただきたい(その日私は福岡に野球を見に行っているので京都には行けないが←年末の怪獣ナイト4は何があってもスケジュールを確保するつもりだけど)
【追記】8/16に怪奇映画祭ナイトへ行かれた方、および関係者の方のブログ紹介
○DAIMOS DIARY ARCHIVES
○京都時代劇愛好会
○二時頃あんこの 京都 のほほん日記。
○こだわり野郎のブログ
○日々是好日
○がめっぱの不定期日記
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