わたしは猿になりたい

「猿の惑星・新世紀<ライジング>」を見てきた。

ちょうど少し前に金曜ロードショーで「創世紀」がオンエアされていたのをちらっと見たけど、あれからもう三年も経ってたんだな(ーー;) なんだかとっても早い気がしますわ。前作は劇場で見たけど最初は「なんで今『猿の惑星』なの?」という、おそらくは安易なリメイクに違いないという決めつけがあったためかすごく軽い気持ち(悪く言うとナメた態度)で鑑賞に臨んだのだけど、これがまあエライ骨太且つ娯楽要素満載のよく出来た映画で、上映終了時には思わずスクリーンに向かって「すんません」(m_m)と言いたくなるような作品だったのだよ。

そしてその続編である本作は前作から10年後という体で物語がスタートしたのだが、なるほどなと思えたのはPART2ものではありながら人間側キャストがすべて一新された関係で映画としての新鮮味がまったく薄くなっていなかったこと。そして人と猿が数の上でも立場としても殆ど対等になっていて、この段階ではもう"可愛そうな獣対利口な人類"の図式は消滅しており、どちらかというと人種(民族)間対立の様相を呈してきたという表現部分に映画的進化を感じるのである。

簡単に言ってしまえば今回は完全な戦争映画をやっているわけだけど、本来戦争というのは「正義と正義がごっつんこ」な状態なワケでお互いが「正義は我にアリ」と思っている以上どっちが正しいなんてのは結局のところ傍観者サイドは誰にもわからない。そういうのをリアルにやろうとするとたとえばスピルバーグの「ミュンヘン」のように、どちらかのグループだけに対して感情移入していくのは難しくなるものだけど、この「新世紀」を見ているとどれほど人間側にいいヤツがいようと気分としては(少なくとも僕個人は)猿サイドに気持ちが流れてしまい、最後まで彼らの目線で物語を追いかけてしまったような気がするのだ。

それはなんでかなって後から考えたら「新世紀」の中では猿の方が人間らしく、人間の方が獣じみた行動を取っていたように見えたからだろうと思っていて、例えば猿側の反対分子となるコバの言動も根底にあるのは「シーザーへの恩」と「同族を自分が守らねば」という考えであり、結果的に裏切り行為へと発展してしまったのは無垢な反逆が大事になってしまっただけではなかったのかと。

だからコバがシーザーと揉めた後で息子のブルーアイズに「これからはおまえがシーザーを守ってやれ」と言ったのはおそらく本心からだっただろうし(尚且つリーダーの器でない物がそれを手にしてコントロール出来なくなった、最後は持て余した権力に酔っぱらったような形でああいう顛末になったと僕は思うのだ)彼の行為に計画性やシーザーに対する憎悪のような物はあまりなかったと僕は思っているのである。

そうした猿たちの会話や動きを見ていると何から何までが人間くさく、そしてアツイ。対して人間側の方は統率がバラバラでこの期に及んでもまだ自分たちが地球の支配者であると思っているし、こうなったのはすべて猿インフルエンザ→猿が元凶だという短絡思考の持ち主がわんさか。マルコム(ジェイソン・クラーク)のような思慮深いメンバーもいるが大概はカーヴァー(見た顔だと思ったら「フリンジ」のカーク・アセヴェドだった)のように粗野で近視眼的な生き方しかしておらず、ほぼ知恵のある野蛮人扱い( ̄。 ̄;)

映画中盤からはもう完全に猿たちの立場に立って映画を見ていたし、大袈裟に言うとシーザーの部下になって猿として生きるのも良いんじゃないかと(^_^;)そんな気分にもなっていたな(それでも終盤にシーザーがかつて住んでいた家で飼い主のウィル(ジェームズ・フランコ)と過ごした頃のビデオを見る場面は「ひょっとしたら人と猿は共生できるんじゃないか」と一瞬思わせてほろっと来たし(T_T)と、同時にいったん動き出した戦争がそんな簡単に終わる物ではないという空しさと悲しさも同居していて、ここはすごく良いシーンだったと思うのだ)

それから映像面の話で言うと廃墟と化した街並みのVFXがもう現実としか思えないほどリアルなのと、猿たちの動きや表情とかも同様にCGでここまで動かせるのはほんとに凄いと思ったな(ーー;) オリジナルの「猿の惑星征服」や「最後の猿の惑星」がコスト削減のために脇役猿のマスク原型が全て同じだった事を思えば、この進化した最新ビジュアルだけでも見に来た値打ちはあった(ディック・スミスのような第一人者が亡くなったばかりだけど映画の中の特殊メイクという技術も今後はどんどん無用の長物になってしまうのだろうかね←その反面シーザー役のアンディー・サーキスみたいなモーションアクターの需要はどんどん高まっていくのだろうなあ)

そんなわけで僕個人は「創生期」より今回の「新世紀」の方を僅かに気に入っているが、今から見に行こうと思っている人で前作未見の人はまずそちらを先に見ておきましょう(見てなくても話はわかるけどより楽しむために)
関連記事

4 Comments

晴雨堂ミカエル  

良いシリーズだと思います。

 前作と本作は良いコントラストだと思いますね。
 本作では一見すると猿と人間が対等になったように見えますが、実は猿は理知的な人間臭さが出ていて、人間の方は視野狭窄に陥り凶暴、蛮族化が進んでいます。もはや猿と人間は立場が完全に逆転。

 構成は抜群ですね。

2014/10/11 (Sat) 10:17 | REPLY |   

しろくろshow  

次が気になりますねー

>晴雨堂ミカエル さん

こんにちは、コメントありがとうございます<(_ _)>

確かに前回今回と良くできた映画だなと思いました。次のラストが旧作の一作目冒頭のような場面で終わるのだろうかとか今からいろいろと想像してしまい、楽しみだなって思ってます。

2014/10/12 (Sun) 15:35 | REPLY |   

映画カッパ  

真・猿の惑星

このシリーズは、前シリーズのパート4に位置する作品ですね。
今思うと、前シリーズパート4「征服」。…で、
一番印象的だったのは、確か映画の中でアメリカ大統領が「黒人」でした…。
「猿の惑星」は、SFではなく「人種問題」についての作品なのでしょうね!?

2014/10/12 (Sun) 23:41 | REPLY |   

しろくろShow  

4→5→1と言う流れでしょうか

>映画カッパ さん

こんばんは、コメントありがとうございますm(__)m

今日の台風は大変でしたね(ーー;)
カッパさんの所は大丈夫でしたでしょうか??
ウチはサッシの隙間から侵入してくる雨水とずっと戦っていました・・・(×_×)

「征服」のときは最後にシーザーの大演説があって、そこではっきりと地球の支配者交代というのが描かれましたが、リブート版では次回のアタマくらいでやってしまうのかなと思ってます。

個人的にはどこかでコーネリアスとジーラの名前も出して欲しいんですけど(^_^;)

2014/10/13 (Mon) 20:11 | REPLY |   

Leave a comment

1 Trackbacks

この記事へのトラックバック
  •  猿の惑星:新世紀(ライジング)
  • ポスター A4 パターンC 猿の惑星 新世紀 (ライジング) 光沢プリント()写真フォトスタンド APOLLO商品詳細を見る 【Dawn of the Planet of the Apes】 制作国:アメリカ  制作年:2014年 自らが生み出したウイルスによって、人類の90パーセントが死滅した 2020年代の地球。サンフランシスコでは、かろうじて生存している人類 と驚異的な遺...
  • 2014.10.14 (Tue) 17:54 | miaのmovie★DIARY