You talkin' to me ? 2nd_新たなる驚異を求めて

見た映画・テレビの話をだらだら且つのんべんだらりと綴るブログ

Category: ◆映画は液晶前の指定席で=TVやDVD等で見た映画の話  

ソフトコアの夜をひとりで

たまたま立ち寄った近所の古本屋さんで「サイコ」のBlu-rayが売られていたのを発見し、750円の値が付いているのを見てついつい買ってしまった。後で調べたらAmazonで新品が1200円だったのでそれほど劇的に安かったわけでは無いけれども、ディスクの盤面・ジャケット・ケースそれぞれ状態は良かったんで一応満足はしている。

IMG_0655.jpg「サイコ」は自分にとって”持っておきたい”映画でもあったので今までも83年TV地上波の録画(ベータ)→8?年発売LD→00年発売SD-DVDとメディアが変わるたびに買い換えてきたのだった(大きな声では言えないがこの間にはVHDソフト(「サイコ」の光学ソフトはLDよりこちらが先だったはず。しかし今”VHD”と書いて直ぐわかってくれる人は多分私と同世代のオッサンばかりでしょうなあ・・・(ーー;))を持っていた知人にダビングしてもらったモノもあったし←VHDの記憶は若干アイマイだが確か「サイコ」だったと思う)

その最後に持っていたDVDも数年前BSでのHD放送録画を契機に友人へ譲渡していたので、いわゆるソフトという形で「サイコ」が我が家に戻ってきたのは久しぶりとなったのである。今回手に入れたのは3年ほど前に発売となった廉価版だが、特典映像もしっかり入っておりSD版の時には未収録だった日本語吹き替え音声も新録で追加されている(特典の内容はSD時代の物と大差ないが、「ヒッチコック劇場」のエピソードが1本丸々収録されていた。ちなみにこれは字幕のみで熊倉一雄さんの声は入っていない)

本編の中身については今更ここであらたまって書くようなことは無いが、それでもテスト視聴で再生したつもりが最後まで見てしまったのはやはり映画力の為せる技なのだろう。もう何回も見ていてオチまでわかりきっているはずなのに、鑑賞中目が離せなくなるのはたいした物だと思わずにはいられないのである。

たとえばこの映画の粗筋だけを聞いた人であればマリオン(ジャネット・リー)の行動に対して疑問符を持たれてもおかしくないと思うのだけれども(普通に考えたらすぐバレるような犯罪をどうしてやってしまったのかと)実際の本編を見れば彼女は平日昼休み限定の妻帯者との密会(まるで島津ゆたかの♪ホテル♪を地で行くようなはなし)に対する後ろ暗さを持っていて、そのうえ手切れ金を捻出出来ず離婚に踏み切れない彼氏(および自分)の経済状態に対しても半ば絶望感を抱いているのがよくわかる。

IMG_0660.jpgしかもそんな虚しい情事のあと職場(不動産屋)に戻ると顧客の成金オヤジから近く予定されている「自分の娘のカネかけた幸せな結婚式」についての話をネチネチ蕩々長々と自慢げに語られ、おまけにそいつが”はした金”と公言する大金4万ドルを「娘の新居の資金だから保管しといて」と扱いも軽くひょいと現金で渡されてしまい、映画を見ているこちらとしたらこのオヤジに対する嫌悪感が劇中のマリオンの心境とシンクロしてここでMaxになってしまったのである。

その瞬間彼女の中で某かのスイッチが入ったのが心情としてこちらにもわかるようになっていて、後先考えずにそのカネを横領しようと思って事に対しても「”はした金”って言ってるんだからいいだろう、こっちはその”はした金”でこんなに苦しんでいるんだから」と、ちょっとしたストックホルム症候群にも似た同情心が湧いてしまったのだった。なのでマリオンが衝動的に「ちっきしょー!ウチかてゼニあったらシアワセになれるんやー!!」(関西弁なのは特に意味なし( ̄。 ̄;))となったのはこのシーンを見ているととても理解出来る気がするのだ(そう思わせる演出が巧いこともあるけれども、見ている気分はほぼ共犯者の心境)

したがってその後の逃走→ベイツモーテルへの流れは完全にマリオン目線で映画を見ていることになるため、少しでもバレそう・見つかりそうな場面に出くわすと必要以上にドキドキしてしまったし、あの有名なシャワーシーンのところでも一度は完全に主役として感情移入した(逃亡が上手く行くことを願ってしまうような)人物が「ああなってしまう」事に対して自分の気持ちをどう持っていって良いのかわからない、なんとも捉えようのない色んな感情(唐突感・不安感・恐怖感等)が交錯してどうしようも無い気分に陥ってしまったのだった。

で、なんとここまで濃密だった50分は実はただの”前振り”に過ぎず、ホントの物語はココから始まるというのがこの映画の恐ろしいところで(; ̄ェ ̄)しかもある意味置いてきぼりになったままの観客(視聴者)を途中から謎解きに駆り出していて、そのことによって一人称(マリオンのみ)だった感情移入先を俯瞰(ノーマンだったりアーボガストだったりライラだったり)へと自然に変更させることにも成功しているのである。

そして今回の再見で思ったことはそうした映像・演出の素晴らしさは当然ながら(その辺はフランソワ・トリュフォー監督の著書「映画術・ヒッチコック」あたりを参照のこと)ジョセフ・ステェファノによるシナリオが完っっっ璧に贅肉のない完成度であるという事も目から鱗だった。上映時間110分の内に無駄な台詞が一言もなかったことからもそれは明らかだろう(実際の脚本を読んだわけでは無く本編映像からの印象でしか無いが(また字幕翻訳者のセンスによるところも大きいけど))

そんなわけで本当に良い映画は何年経とうが何回見ようが絶対的におもしろいんだ、ということをたった750円で(ーー;)我が輩あらためて感じました(たまにはワゴンセールも覗いてみないとあきませんな・・・)
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Comments
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こんばんは

 これは面白かったです。
 リメイク版もありましたが、ヒッチコックの方が数倍良かったです。

 特にアンソニーパーキンスの不気味さがたまりません。
 
「ベーター」に「VHD」、もはや市場から消えてしまいましたね。そのうち「スマホ」も消えてしまうのでしょうね。
Edit
昔の映画って100分ちょっとでどうしてこんなに面白いのか、って思うときがあります。

まあ単に古い映画でつまらないものは手元に届く前に淘汰されちまうからだとも思いますが。

いま、「無防備都市」「戦火のかなた」「ドイツ零年」のDVDを買うかどうか悩んでます。いや、オマケのディスクが魅力で……。
Edit名作の一本
こんにちは。
カリメン2号です。

映画史に残る名作中の名作ですね。
サイコスリラー(ホラー)映画を作った人物の作品と言っても、過言ではないでしょう。
Edit
こんばんは。

ベータを持っていたというのが“通”ですね(笑)。

ソニーもそのころから今の姿が分かっていたら・・・。

サイコを初めて観たのは高校生の頃、TVで放映されたのを見ました。
そりゃ次の日の学校で盛り上がりましたよ。
70年代の高校生にあの“お母さん”はウケまくり。
ラストをモノマネする奴もいました。

その後も二回ぐらいは観ましたかね。

ガス・ヴァン・サントのリメイクも観ました。
あのまんまやっちゃうというのは、理解はするけど無謀でしたね。
それなりに楽しめましたが・・・(^_^;)。
Edit幻のメディアってけっこうありました
>mikitaka08 さん

こんばんは、コメントありがとうございます<(_ _)>

ガラケー、キーボード入力、デスクトップPCあたりはそろそろ消滅の危機ありと聞いたことがありますが、LDとDVDの中間でCDVなんてのもありましたね。

「サイコ」のリメイク版は私も見ましたが、あまりの芸のなさにビックリしたものでした(^_^;)映画学校の学生がやるならともかく、あれはどうかと思いましたね。
Edit無防備都市いいですね(^_^;)
>ポール・ブリッツ さん

こんばんは、コメントありがとうございます_(._.)_
すいません、自分の好みだけでそんなこと言ってますが買う以上はよく吟味なさってください(^_^;)私はかなりむかしにNHKで見た記憶があるのですが、そのときの印象がとてもよかったので・・・

で、実は人間の集中力の限界って2時間超えたら駄目なんじゃないかと思うときもあるのですが、最近の映画はとにかく長いですよね。

「サイコ」の110分はほんとにちょ~どよい長さでしたし。
Editヒッチコック映画の中でも図抜けた内容だと思います
>カリメン2号 さん

こんばんは、コメントありがとうございますm(__)m

同じように名作と言われている「北北西_」や「間違えられた男」なんかだと多少ツッコミどころがあったり、展開がやや冗長だったりと感じることもあるのですが、本作はそういうのが全然なかったように思います(__;)

あとは音楽もひじょうに印象的で頭から離れなくなりますね。
Editデビューがベータだったんですよ
>バニーマン さん

こんばんは、コメントありがとうございます(・_・)(._.)

私が初めてビデオを買ったのは17歳の時だったんですが、新聞配達のバイトを1年続けてその給料全部つぎ込んで手に入れたのはSONYのベータマックスでした(今じゃ考えられないけど23万もしましたね~(T^T))

たまたま自分の周りでビデオ持ってた人がベータばかりで、ついそれに流されて選んだだけなので特にこだわりはなかったんですよ(^_^;)

でもそのおかげでその年にあった「ノーカット放送10選」での「サイコ」オンエアに間に合ってエアチェックにも成功しました。

※参考 http://dvdcinemasalon.p2.weblife.me/pg376.html

今回買ったBlu-rayの吹き替えがこのバージョンだともっとよかったんですが、我ながらいい買い物だったなと悦に入っております(^0^;)
Edit
「サイコ」と「死霊のしたたり」のテーマソング(?)は似てますね。リングス・ロシアのユーリ・ベキシェフが入場する際に使用したのもこれでしょうか?
Edit
無防備都市が大好きで大好きで、図書館で借りてきちゃあ何度も何度も見ているもので、こりゃあロッセリーニのほかの2本も見なくちゃなあ、とかねがね思っていたのですが、1枚買うのもなあ、と思っていたところ、

ロッセリーニとデ・シーカとヴィスコンティの初期作品全10枚セットが1800円ちょっと、という「新品」の記事をアマゾンで見かけまして、ついふらふらと。

リージョンコードもちゃんと2ですし。

2000円なら騙されてもいいかな、という気が(←もちつけわたし)

そんなわけで財布と検討中です。見たこともないのにシーカとヴィスコンティをおまけよばわりするのもなんですが(^^;)
Edit私にとっての何度みても飽きない作品。
 私にとって何度でも観れる作品、もちろん「サイコ」もそうなんだが、どういうものがあるだろう?
 と思ったら、blogで5つ星を付けた作品は結果的に何度も観てしまっています。
 良い作品でも、4つ星程度では一度観たらまず観ていない。
 そんな事に、今更ながら気がつきました。
Editリングスは
>シャオティエン さん

こんばんは、コメントありがとうございますm(__)m

すいません、実はリングスは自分の中で中途半端な"似非総合格闘技"という認識があったのとwowow入らないと見えないってのもあったので当時も全然チェックしてませんでした(前田とドールマン以外はまったく興味湧かなかったですねー・・・)

「死霊のしたたり」のテーマ曲は似ていると言うよりほとんどそのまんまでしたよね(^◇^;) アレは最初見たときついつい笑ってしまいました。
EditふだんSDのソフトは買い控えていますが
>ポール・ブリッツ さん

こんばんは、コメントありがとうございます_(._.)_

あの本屋で売ってるセットのやつですよね。1枚の単価が180円~290円と謳われると滅多にソフト買わない私でもさすがに心がざわついてしまいますね、お気持ちはよくわかります。

Edit
>晴雨堂ミカエル さん

こんばんは、コメントありがとうございますm(__)m

自分の場合「何度でも見てしまう映画」というのは全編じゃなくて"「××」のあのシーン"とか"「○○」のこの台詞"みたいな断片的リピート視聴が多いように思います。

在阪某映画評論家のように「エイリアン2を78回見た!」と言えるほどの武勇伝(?)はありませんが( ̄。 ̄;)この「サイコ」は数少ない全編通しで見返すことの出来る映画だと思いました。
Edit因みに断片的リピートが最も多いのは・・。
 リピートが最も多い1シーンは、「トレマーズ」の銃器オタク夫婦VS怪物の場面です。

 理想の夫婦だ。
Editサイコー
ヒッチコックの代表作「サイコ」のブルーレイが、750円とは…。嬉しいような悲しいような? ただ、映画を愛する1人としては何とも嬉しい時代です。その昔、初めてレンタルビデオで「陽炎座」を借りた時は、入会金込みで、2500円だった事を憶えています。
Edit最近だとなんだろう・・
>晴雨堂ミカエル さん

こんばんは、コメントありがとうございますm(__)m

断片リピートと言えば少し前なら「ダーティーハリー」の銀行強盗失敗直後のシーンとか「ブレードランナー」の二つで十分ですよ、なんかでしたが、ここ最近はなぜか「バッドマンビギンズ」のルトガー・ハウアーVSモーガン・フリーマンの掛け合いとか、「猿の惑星・制服」のシーザー演説場面だったりしますね( ̄。 ̄;)(ある種のマイブームみたいな物)
Editそーなんですよ
>映画カッパ さん

こんばんは、コメントありがとうございます_(._.)_

確かに30年前くらいはレンタルビデオで1本何かを借りるのは大事(おおごと)だったように思います(2000~3000円は余裕で取られてましたよね。当時は高校生だったので懐具合はかなり苦しかったです)

コレ地元の人しかわからない話ですけど( ̄。 ̄;)最初が徳島駅前の"キングスロード"で、そのあと"紀野國屋"でしたっけ?ちっちゃい店がぽつぽつ出来るようになって、よく通ったのはラーメンいのたにの近くにあった"PickUp"ってとこでした(なんてローカルトークでしょう・・・(__*))

「サイコ」の場合私が最初に買ったLDは7800円もしましたし、最初のDVDが3999円。そう思うと中古のブルーレイとは言え750円というのは信じられない値段でした。


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