寝ながら本を読めないなんて、まさに現代の怪奇ですね

IMG_1519.jpg今月アタマに買っていた「不死蝶・岸田森」を読了。この本は2000年に発売されていた同書(右写真左の本)を文庫化(同写真右の本)した物だが今回は岸田森が生前書いたエッセイを新たに二編追加収録した形で再編集されており、そこが購入理由の一つにもなっているのだけど、何より文庫サイズになったことにより布団で寝ながら読めるというメリットが我が輩にはあったのである(あとはスナップ写真もけっこう入れ替えが行われているので旧単行本を持っている人でもこの本は買って損は無い筈)

最近加齢のせいもあるのかハードーカバーや少し大きめの本を横になって読んでたら腕や首が痛くなるのが早くて(T^T)今や布団で読書をするなら文庫が必須である状況に陥っていたのだった。で、あらためてこの本を読むと岸田森さんが亡くなってもう34年もなるのかと、そして自分が岸田さんの亡くなった年齢をとっくに追い越してしまったこと等々をしみじみし感じながら彼の出演作に想いを馳せてみたくなったのである。

"岸田森"と言えばおそらく各世代で彼の代表作の印象は微妙に変わっていく俳優さんだと思うのだが、たとえば人によってはそれが「傷だらけの天使」の辰巳役だったり「怪奇大作戦」の牧役だったりするわけだけど、自分の場合はやはり「帰ってきたウルトラマン」の坂田健役がもっとも印象深い。

これは「傷天」や「怪奇」をリアルタイムで見ておらず後追いの再放送でしか目にしてなかったということもあるが、我が輩にとって"人生初の現役ウルトラ"でもあった「帰ってきたウルトラマン」での出会いが強烈なインパクトとして残っていたのだった。

役柄は主人公(郷秀樹=演者:団次郎)の後見人的ポジションで時に兄のごとく時に父のごとく接してくれる実に頼りがいのある存在としてドラマの中では描かれていたのだけど、その設定以上に岸田森の独特な個性が当時小学校低学年だった私の目にも際だって映っていたのは間違いなく、子供なりにコドモ番組を見ているという自覚は何処かにありながら彼の醸し出す「大人のドラマのムード」が「帰ってきた_」を1ランク上のステージに上げていたような気がしているのである。

具体例を挙げると私が「帰ってきた_」の中で大好きなエピソードに第6話「決戦!怪獣対マット」(脚本/上原正三 監督/富田義治)という回があるのだが、その終幕近くでこんな場面があった。それは二匹の怪獣によって東京が壊滅的な被害を受けウルトラマンも一度は敗退し、怪獣攻撃部隊のMATは原水爆並の威力を誇るという新兵器スパイナーを使って撃退しようと計画するが避難勧告を受けた坂田はそれを拒否。怪獣被害に遭い搬送も困難な意識不明の重体に陥っている妹(アキ=演者:榊原るみ)の側にいてやりたいと言って東京を出ようとはしなかった。そのシーンの台詞なのだが_

(MATにどうして避難しないのかを詰問され)
坂田「昭和・・・二〇年三月・・・空襲の時私はまだ三歳でした。私のお袋はどうしても疎開するのがイヤで空襲のたびに庭の防空壕に飛び込んで『この子だけは殺さないでくれ』と空を飛ぶB-29に祈ったそうです・・・(悲しそうに笑って)私もお袋に似てるんですね・・・」
※下に参考動画あり。但しいつ削除されるかわからなさそうなヤツなので(ーー;)閲覧はお早めに。

このシーン、岸田森の芝居はとんでもない説得力と達観した悲壮感が前面に出ており、私の個人的好みで言うとココは何度見ても未だ鳥肌が立ちそうになる超・名場面となっているのであった(この直後決起した郷とMATによって危機は回避されるのだが、そらこれで燃えないとキミらおかしいやろ!と言いたくなる流れ)こんなのハッキリ言ってヒーロー番組の中でやるような演技では無いとも言えるが、これが先に書いたような「オトナの空気」をスパイスとして注入していたのだろうという気がするのである(もっと言えばこんな台詞を脚本に書いた上原正三さんもスゴイのだが( ̄。 ̄;))

おそらく岸田森という人はどんなジャンルのドラマや映画(主役/脇役関係なく)に出ても、そうした場の空気を一瞬にして変えてしまう「風」を持っている役者なのだろうと私は思っているし、特にメジャーなスターでは無かったこの人が没後三四年も経て未だに語られ続けているのはきっと存在そのものが希有な俳優さんだったからなのだろうと、そんな風にも感じている。

そうした不思議な魅力を持つ岸田森の事が本人の言葉や周りの人々の証言(水谷豊のインタビューが特に良い)含めて目一杯語られている本なので、少しでも彼の出演作を見たことがある人は是非一度読んでみていただきたい。

※ちなみに岸田森の仕事で私が他に好きな物だと「蘇る金狼」の殺し屋、「ダイナマイトどんどん」のヤクザ・花巻、「ファイヤーマン」の水島博士、そしてぜったい外せない「怪奇大作戦」の牧史郎という並びになります(゜▽゜*)

 
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10 Comments

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2016/09/30 (Fri) 19:00 | REPLY |   

しろくろshow  

興味あるお話ですが

>鍵コメ さん

こんばんは、コメントありがとうございました_(._.)_

せっかくのお誘いでありがたいお話ではあるのですが、なにぶんこちらは四国・徳島の蛮地在住田舎人ですので( ̄。 ̄;)年末に関東へ行くのはけっこう至難の業となります。

そういうわけですので今回はご遠慮させていただきますが、これを機にブログの方へはまた遊びに来てください。今後とも宜しくお願いいたします。

2016/09/30 (Fri) 20:02 | REPLY |   

軍曹亭!  

おはようございます。

探偵物語でのコミカルな演技も忘れられません( ̄▽ ̄)

2016/10/02 (Sun) 11:41 | EDIT | REPLY |   

ハヌマーン&さとる  

ダイナマイトどんどん

しろくろshowさんが、岸田森のベストワークに「ダイナマイトどんどん」を入れておられて大喜びです。
博士役がこれほど似合う日本人俳優はいないのですが、カレー屋の店主とか修理工場の社長などの庶民をやったときの巧さも格別です。
特に、「ダイナマイトどんどん」のガラの悪過ぎるやくざの役は絶品だったと思います。

2016/10/02 (Sun) 17:29 | REPLY |   

しろくろshow  

怪盗103号でしたっけ??

>軍曹亭! さん

こんばんは、コメントありがとうございます<(_ _)>

あ、書かなかったですけどアレも私好きですよ。ゲスト出演だと「特捜最前線」に藤岡弘の兄役で出てきたときもおおーと思ったモノです(どんだけ濃い兄弟やねんと( ̄▽ ̄;))

2016/10/02 (Sun) 19:06 | REPLY |   

しろくろshow  

そういえば昨夜

>ハヌマーン&さとる さん

こんばんは、コメントありがとうございますm(__)m

昨日の夜入ったばっかのAmazonプライムで「サンバルカン」の一話を見ていたのですが(ーー;)本業の長官役より隠れ蓑仕事であるスナックのマスター役やってる感じの方が楽しそうに芝居してるな~と思いながら見ておりました。

それと「ダイナマイト_」のあの役はメンバー集めのためのスカウトシーンが大好きでして、アソコだけは何回見ても腹よじれるほど笑ってしまいます(^□^)

2016/10/02 (Sun) 19:12 | REPLY |   

kei  

 「シン・ゴジラ」の冒頭に登場するボートの持ち主、行方不明になった博士マキ・ゴロウの写真は映画監督の岡本喜八でした。
 岸田森は岡本監督作品の常連。「怪奇大作戦」で岸田森が演じたのが牧史郎。し(四)の上は五、だからマキ・ゴロウなのでしょう。

 「不死蝶」は単行本を持っています。単行本は高価でずっと立ち読みで済ませていたのですが、ある日下北沢の古書店で見つけて、その時は財布に金がなかったものだから、次の機会に行ったらもうなく、だったら新品を買ってやるぞと池袋のジュンク堂で求めたのでした。

2016/10/05 (Wed) 07:38 | EDIT | REPLY |   

しろくろshow  

いろいろオマージュを広げているのだろうとは思っていました

> kei さん

こんばんは、コメントありがとうございます_(._.)_

私もたぶん「怪奇」の牧から取ったんだろうと思っていたのですが、監督の樋口さんが映画人として最初に関わった「84ゴジラ」の田中健が演じた「牧吾郎」から取っていると言っていた人もいましたし、諸説いろいろあるみたいですね(^_^;)

私はこの最初の本は5、6年前に香川の本屋さんでホコリ被っていたのを見つけて買ったと思います。もう絶版だと思ってたから発見したときは嬉しかったです。

2016/10/05 (Wed) 19:28 | REPLY |   

kei  

>田中健が演じた「牧吾郎」

そうなんですか! 知りませんでした。

「シン・ゴジラ」って、ある意味84年版「ゴジラ」のリメイク、リボーンなんですよね。ゴジラの設定はもろ84年版ですもん。
カメオ出演者の扱い方ひとつとってみても、大いなる差がありますが。

2016/10/06 (Thu) 07:59 | EDIT | REPLY |   

しろくろshow  

シンゴジを見て

> kei さん

こんばんは、コメントありがとうございますm(__)m

シンゴジを見たときに真のカメオ出演というのはこういうのを言うんだと(ーー;)「84ゴジラ」のカメオなんてのは今思うとホント賑やかし以下の存在でしか無かったですもんね(じつは84ゴジラってそんなに嫌いではないのですが、武田鉄矢やムッシュかまやつは本気で邪魔だと思いました・・・)

そういえば84でゴジラが原発に出現したとき、カメオの一人だった石坂浩二が着ていた服に「SRI」のロゴが縫い付けてあったと最近知って( ̄▽ ̄;)見直してみたらまんま「怪奇」の時と同じモノだったので笑ってしまいました。

2016/10/06 (Thu) 19:08 | REPLY |   

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