地鳴りと砂塵と雄叫びでアイツが現れる

IMG_1527.jpgそんなわけで米子映画事変の中で行われた「第七回全国自主怪獣映画選手権米子大会」上映各作品の感想を書いておく。

この上映会に参加するのはこれで三度目となるが、ここまでたくさんの作品を一度に見たのは初めて(合計二四本)

トータル4時間近くという長さにはなったものの会場の雰囲気も良くバラエティに富んだ作品が多かったせいでダレることも無く最後まで楽しませてもらえた。

惜しむらくは地震の影響で客足が鈍く、空席がけっこう目立っていた事が残念ではあったが、これはもう仕方の無いことでもあるなと。 ※以下上映順で感想を列挙。

1.『東京放棄命令 ガラテイア』(17分) 監督:奥野憲吾・・・故・川北紘一監督ゆかりの大阪芸大からエントリー。

師匠の演出ぶりを彷彿させるようなナイトシーンの都市破壊描写がなかなか迫力あり(ミニチュア造形の出来は本作が一番良かったような気がする)

本編側の演出で殆どの出演者が台詞を力みまくって喋っているのは「シン・ゴジラ」の逆を狙っているのかという想像もしてしまったのだが、やや音質が悪く何を言っているのかワカラナイ箇所もあったのは惜しかった。

画面下に英語字幕が出ていたのでいっそアレを日本語で表示してくれれば良かったかも。で、けっきょくこの映画は「セイバルコン」の新シリーズ第一話と言う解釈で良かったのかな??

2.『深海怪獣ナメンゴ』(30秒) 監督:山本康祐・・・ナメゴン風の怪獣が移動しているただそれだけの映像ながらCGでゆるくエフェクトをかけているのがみょーにオカしいショートムービー。"こんなのもあるよ"という賑やかしの一本と思えば許せるかな( ̄。 ̄;)

3.『甲獣、現る!』(3分) 監督:芦内亮太(大阪芸術大学)・・・これは見てからまだ一週間しか経っていないのに全然印象に残っていない(ーー;)申し訳ないけど数日で記憶から欠落してしまう程度のインパクトしかなかったということで(単に私の趣味に合わなかっただけだとは思うのだけれども)



4.『ガンキリュウ』(9分) 監督:名久井 晨(日大芸術学部・日芸特撮部)・・・我が輩はこの作品を一位に推した。内容面で言うと一本目の「ガラテイア」と丸被りな話なのだけど(ーー;) なんと言ってもヒロインの女の子がかわいくて演技がしっかりしているのが良いのである。自主映画経験者ならわかってもらえると思うけど、こういう映画に於いて女優さんの善し悪しというのはそれだけで作品の値打ちがガラッと変わるパワーを有しているのだよ。もうその部分でこの映画は突出した出来だと我が輩は断言してしまうのだった。

5.『シリウスの七日間 テレビスポット』(1分) 監督:豊住耕一・・・1分を切るテスト映像というか予告編のようなもの。映像の中のどれが怪獣なのかは不明だが、金属っぽいロープみたいなのがそうだとしたらちょっとエヴァンゲリオンの使徒っぽいイメージ。どんな映画になるのか予想し難くて興味は牽いたが、もう少し長い尺で見せてほしかった。

6.『鉄ドーン!』(3分) 監督:中川健成・・・完全な1アイディア映画なので「一発目のそれ」については面白い映像と感じるが(実は同じ事を「シン・ゴジラ」でもやっているという(^_^;))ちょっと長かったのではないかな~。それとこの監督さんはきっと怪獣より鉄道の方に思い入れがある人なんだろうね。

7.『ウルトラアラシ(完全版)』(5分) 監督:橋本 慧
8.『ウルトラメンエルディー』(1分30秒) 監督:竹下颯馬
・・・この二本はアマチュア特撮映画の鉄板「段ボールのミニチュア+段ボール怪獣とジャージ姿のヒーローの対決」形式で作られたモノ。粗っぽいにもほどがある特撮シーンが意外に巨大感を上手く表現出来ており「しょーもなー( ̄。 ̄;)」と感じながらもつい最後まで見てしまう作品群(このパターンで有名なのが庵野秀明監督の「帰ってきたウルトラマン/マットアロー1号発進命令」

9.『Red Raid』(2分) 監督:岡田 昭・・・来ると思った「レッドマン」(別名「赤い通り魔」)のパロディー。あの番組の基本フォーマットを遵守しつつ、なんと最初から最後まで怪獣目線によるPOVで撮られたサスペンスドラマ(?)にもなっているという、なかなかよく練られた短編。「レッドマン」を見たことある人なら腹よじれる面白さがあるはずだ。

10.『暗黒魔獣ワニガメイーター』(12分) 監督:升田規裕・・・この日のラインナップの中では少々毛色の変わった映画。エイリアン風(またはグエムル調)の怪物が登場するのも珍しかったし、すべての実景に人間やミニチュアを合成で処理した画面作りをしているのもユニーク。たぶん実際にロケに行ったのはカメラマン一人だけだったのではと思うのだが、こういう映像を80年代初頭に見た記憶があってなんだか懐かしくも感じた(「ワン・フロム・ザ・ハート」や「COSMOS」でこんな感じのを見たなあ)

11.『大海獣 酔鯨』(50秒) 監督:林 利彦・・・応募要項にアニメはダメとは書いてない!という殆ど「空白の一日」みたいな理屈で( ̄。 ̄;)エントリーしてきたアニメーションの短編。「鯨神」っぽいのを期待したけどそこまでのダイナミックさはナシ。もう少し絵が動いてくれると良かったのだがほぼ紙芝居状態なのが不満。しかしそのチャレンジ精神には天晴れ。

12.『ヒノガワクン』(1分40秒) 監督:稲田圭将・・・こちらは「シン・ゴジラ」にインスパイアされたお遊び的ショートムービー。出オチ映画だからもっとバカ丸出しても良かったのでは。

13.『トライアングルマンデルタ』(9分) 監督:黒川陽平(Y1)・・・昨年も同大会に登場した17歳の現役高校生監督による最新作。今作では初めて人間のライブアクション(演者は監督本人だが、意外なほどに芝居が上手。これなら今後はもっと前面に出て撮った方が良いのでは)が取り入れられ、より映画っぽく進化したように思えた。たった一年でここまで上達するとはこれも若さの特権なのだろう。何より毎回家族(弟二人と両親)で特撮映画を撮っているというのが素晴らしい。

14.『モンストゥルム』(5分) 監督:村松健太・・・特撮怪獣映画という括りで考えるとカテゴリーが違っているのではないかと思われる作りだが(どちらかと言うと雨宮慶太の作品に色は近い)「映画」として見たら私は本作が一番良かったと思っているのである。驚くような展開やオチは用意されていないけど独特の良い味を持っている短編だった。

15.『ライトアフェクターCX』(5分) 監督:鈴木優太(大阪市立工芸高校)・・・こちらはもうひとりの高校生の手による作品(今は大学生になっているそうだけど)全編が異常にほのぼのしてて(^0^;)ものすごく和んでしまった。怪獣映画でこの空気感はある意味スゴいのかもしれない。

-予告編大会-  
16.『ビビッドマンブレイヴ』 監督:川野悠介(武蔵野美術大学・ビビッドマン製作委員会)
17.『巨獣』(東京造形大学「J.A.G.U.A.R」)
18.『新聞怪獣カミラ』(立教大学特撮愛好会)
19.『ワークワーカー』 監督:戸倉光浩(早稲田大学怪獣同盟)
・・・これも自主映画の定番「ホンマに本編作る気あんのか?」的なノリの予告編四本。困ったことに全部面白そうで「予告だけで終わらずにちゃんと作れよ!」と言いたくなってしまった。古新聞が怪獣になる(で、良いんだろうか・・・(__;))「カミラ」なんか本編をめっちゃ見てみたいわ。

20.『オクトロブVSシシシンチュラ~大怪獣超攻撃~』(39分) 監督:武富勇太(早稲田大学怪獣同盟)・・・特撮もドラマ部も物凄く一生懸命作り込んでいるのは伝わるのだが、編集に勇気と思い切りが無い。不要なカットが多すぎて冗長になっているし、台詞部分の音質がバラバラで聞き取りにくのもマイナス。39分と今回のラインナップの中では最長時間の映画だったが、テンポアップして詰めていけば半分に出来たはず(登場する怪獣が二匹ともゆるキャラ感があってカワイイのは気に入っている)それと贅沢にも本作はダブルヒロイン制を敷いているのだけど、我が輩の好みではサブの娘の方が可愛いと思ったので(すごい失礼なことを書いてますが(__;))今度は是非あの子で一本撮ってもらいたい。

21.『ニューゴジラ2016』(3分) 監督:田中まもる・・・昨年の米子大会チャンピオンの新作。「シン・ゴジラ」の予告だけを見て一気に作り上げたそうだが、このタイトルだけで笑いそうになってしまった。例によって爆笑バカムービーに仕上がっているのだが(^◇^;)去年よりエフェクトのクオリティが上がっていてビックリしたわ。ほぼ田中さんの「顔芸」で魅せている所もある最高の箸休め映画(これは褒め言葉のつもり)

22.『一挙公開!赤ザクウルトラマン列伝』(21分)
23.『田口清隆監督が教える!君にも怪獣映画が撮れる!』(3分)
24.『大怪獣ガサキングα三和市場に現わる』メイキング+本編(18分)
・・・最後の三本は主催者である田口清隆監督の作品を一挙公開。最初の「赤ザク_」というのは監督が中学生の頃に撮ったというモノで、ここでも段ボールとジャージが大活躍(プロになる人でも最初はおんなじことをやってるんだというのがよくわかる良いテキストみたいな映画)していて笑ったが、随所で細かいセンスを感じさせるのはさすが。


と、いうことで最終投票の結果は三位「東京放棄命令 ガラテイア」二位「ニューゴジラ2016」と来て優勝は「トライアングルマンデルタ」に決定。

そして今回地震にもめげず参加した我が輩が何より嬉しいと感じたのは彼らのような若者たちが日本中で今も怪獣映画を撮り続けているということで、数年後にはここに参加した誰かが新作ゴジラやガメラのスタッフとして活躍してるんじゃないかと、そんな楽しい想像もしてしまうのだった(たぶん想像じゃなくてホントにプロになる子は何人も居るはず)彼らが頑張っている限り日本の特撮怪獣映画は今後もきっと新しいビジュアルを提供し続けてくれることだろう(「シン・ゴジラ」を超える作品が登場するのもそんな先のことでは無いかもしれんとですよ)

※過去参加した時の記事

第二回 さぬき大会
第四回 米子大会
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